書評まとめて。

飛行機の中で読んだ本まとめて。


①吉田 修一 著 「日曜日たち」
★★★★★★☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

ありふれた「日曜日」。だが、5人の若者にとっては、特別な日曜日だった。
都会の喧騒と鬱屈した毎日のなかで、疲れながら、
もがきながらも生きていく男女の姿を描いた5つのストーリー。
そしてそれぞれの過去をつなぐ不思議な小学生の兄弟。
ふたりに秘められた真実とは。絡みあい交錯しあう、連作短編集の傑作。


吉田修一の「パレード」が好きだったので。


「ありふれた」といえば「ありふれた」5人の日曜日。
東京で一人暮らしをする30歳前後の男女5人(まさに俺)を
それぞれそ主人公にした短編5編。


特に大きな事件や、そういったものはなく、
日常のちょっとしたこと、そこをめぐる心のヒダヒダを描いた作品。


一人暮らし、そして30歳の自由、寂しさ・・・
でも5人に共通するある事柄がきっかけとなって、
暖かかくちょっとした希望の光が点り始める。


パーク・ライフと雰囲気が似ているけど、
パーク・ライフより明快に、幸せに、終わる。


相変わらず、雰囲気がイイ心的描写、
そして読んだ後のなんか気分がいい感じがヨイ。


まさに日曜日に読みたくなる本でつ。


ただここで出てくる「ありふれた」日常が、
ありふれてなく感じてしまうくらい
更にナニゴトもない自分の日常に
若干びっくりした。

日曜日たち (講談社文庫)

日曜日たち (講談社文庫)


②マークアシート 著 「ライ麦畑をぶっとばせ」
★★★★★☆☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

このままじゃ、念願の“ジュリアード”に行けない!エドワード・ザンニは
俳優志望の高校3年生。歌もダンスも演技も自信ありだ。卒業を目前にした夏、
親友のポーラとミュージカル出演の夢を語り、GFのケリーとHにいそしみ、
アメフト部の同級生の股間に興奮しながら、高校生活最後の日々をばっちり
しめくくる予定だった。ところが、父と再婚相手のヘンな女が、進学費用はびた
一文ださないと言ってきて…。「フラッシュダンス」や「サタデーナイトフィーバー」
が鳴り響く80年代を舞台に、はちゃめちゃでHで爽やかな登場人物たちが繰り広げる、
異色の爆笑青春ストーリー。


80年代アメリカを舞台にした青春小説!
っつうことで俺の大好きなB級アメリ青春学園系、
スタンド・バイ・ミー」風な話かと思いきや、


主人公がいきなり演劇部、
そして親友の女の子と揃って相当太目、
さらに服装とかがかなり微妙。
しかもバイセクシュアルときて、
かなり期待から外れた。


もうその時点で主人公に感情移入できないでしょ。



まぁでも読んでるうちにその辺には慣れ、
それを除けば内容はソコソコかな。


全然爆笑はしなかったけど、
でも最後はなんとなく感動した。


でもこのジャンルって主人公への感情移入が
かなり重要な気がするけど・・・。

ライ麦畑をぶっとばせ (ヴィレッジブックス)

ライ麦畑をぶっとばせ (ヴィレッジブックス)


馳 星周 著 「生誕祭 (上)(下)」
★★★★★★☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

六本木のディスコで黒服のバイトをしながら満ち足りぬ日々
を送っていた彰洋は、偶然出会った幼馴染の麻美に不動産屋の
美千隆を紹介される。時はバブル真っ盛りの八〇年代後半。
おれはおれの王国を作りたいんだ―若くして成り上がった
彼の言葉に魅せられた彰洋は、
二十歳そこそこで大金を動かす快感に酔いしれていく。


読み終わって気づいたけど、楡周平と勘違いしてた。



まさにバブルの熱狂とそこに群がる金の亡者の栄華盛衰を書いた小説。


「バブル体験記」みたいな。


上巻は完全に期待どおりで、
バブル期の不動産業界に飛び込み、
バブルを食い漁る狡猾な大物達と
その中で上り詰めていく主人公の活躍(?)を描いているんだけど、
下巻になってからちょっと望んでた展開とズレが。


と、この先はあまり言えないけど、
個人的にはバブルが崩壊していくところ、
その中での登場人物達の動きがもっと読みたかった。


あと、主人公がもうちょっとキレててほしかった。
(ちょっとダメすぎ)


なんつって、それがリアリティなのかも。


俺はバブル末期しかしらないけど(しかも高校生)、
なんとなく周りに蠢いていたバブル時代の息吹と
バブルに踊らされる人間の浅ましさを生々しく感じられる。


バブルの熱気に浮かされてページを進む手が止まらず、
思わず一気読みしちゃう本でつ。
(特に上巻)


あと、個人的に参考文献にあげられていた
冬の花火−地上げの帝王・早坂太吉との二千日」
に興味津々。

生誕祭(上)

生誕祭(上)