「かえっていく場所」


椎名 誠 著 「かえっていく場所」 読了。
★★★★★★☆☆☆☆


椎名誠の最近の様子をシミジミ書いた私小説
最近といっても20001年とか20002年頃のハナシ。


椎名誠といえば、オレがたぶん中学生にあがったころに
わしらは怪しい探検隊」を読んで、
「はまった」作家だ。


もうこの人の本は全部読もう、って思った。
実際大学の頃までは殆どの本を買って読んでたと思う。


中学の頃自転車で旅とかキャンプとか行くようになったのも、
海とか山とかが好きになったのも、
将来は作家になりたいな、などと思ったのも
まちがいなくこの人の影響が大きいと思う。



で、個人的には椎名誠のスゴサはSFにあって、
特にその擬態語とかはもう天才的なヒビキがあったと思ってたんだけど、
一方で一般に受けていたこういうエッセーもかなり好きだった。


ナベやらヤカンやら担いで大勢で離島や海外にでかけ、
馬やバイクに乗って冒険し、
毎日ビールを飲んで、わいわい騒いで遊び倒す。


とにかくあこがれた。
(ビールのうまさはよくわかんなかったけども)
(今は全くもってよくわかるけども)



でもヒサビサにこの小説を手に取り、
読んでみたら、
椎名誠も歳をとってしまったんだなぁ〜、
としみじみ思ってしまった。



あんなにバイタリティの塊みたいだった人が、
かるいウツや睡眠障害に悩み、
ビールを控えるようになり、
旅に出ても「なんだか疲れてしまって」
みたいな台詞がよく出てくる。



とにかく、
「こんな風に生きられたら毎日毎日楽しいだろうな」
なんて憧れてた人からこんなハナシを聞くのは
ちょっと寂しい。



なんか旅も静かで、日常も穏やかで、
家族とも定期的に集まって、
それはそれで優しくてとても幸せそうだけど、
やっぱりシーナさんには
死ぬまで元気にバタバタと遊びまわって欲しいなぁ。
(勝手)



しかし
あやしい探検隊シリーズ
はオススメ。


たぶん「サラリーマン転覆隊」とかも
この影響受けてるんじゃないかと思う。