「出口のない海」


横山 秀夫 著 「出口のない海」 読了。


内容(「BOOK」データベースより)

人間魚雷「回天」。発射と同時に死を約束される極秘作戦が、
第二次世界大戦終戦前に展開されていた。ヒジの故障のために、
期待された大学野球を棒に振った甲子園優勝投手・並木浩二は、
なぜ、みずから回天への搭乗を決意したのか。命の重みとは、
青春の哀しみとは―。ベストセラー作家が描く戦争青春小説。


もともと戦争の話は暗くて切なくて悲しいので、
あまり読む気分ではないわけ。たいていいつも。


著者が「横山 秀夫」じゃなかったら買わなかったと思う。


横山秀夫は警察小説が有名で、書き味が重いのに後味サワヤカで、
半落ち」とか「クライマーズ・ハイ」とか大好きだから、
横山秀夫が特攻隊をどう書くのか興味あったので。



読んでから知ったんだけど、この本は実はベストセラー作家になる前、
96年に書かれた「出口のない海−−人間魚雷回天特攻作戦の悲劇」
という作品の前面改稿版とのこと。


なるほど、言われてみると確かに登場人物の描写の深さや、
ストーリー展開などに「横山ブシ」が若干足りないように感じた。



去年「男たちの大和」を読んだ時の感想にも書いたけど、
本当に戦争は悲しみ以外何もなくて、二度と起こしてはいけないと思う。
ありきたりの言葉だけど、こういう本を読むたびに実感する。


そして読むたびに、昔は理解できなかった特攻作戦の理由や、
あえて特攻に志願した当時の若者の気持ちがわかってきたような気がした。


今回特に感じたのは、


「先に死んでいった自分と同じような若者、友達、もっと若い後輩に申し訳ない。
早く死んでみんなのところに行きたい」


コレなー。


こういう気持ちがあったんだよなー。


周りが友達がみんなそうやって次々に死んでいくんだもんなー。


そりゃ逃げらんねーかも。



この作品のテーマにもなっているけども、
伝えてかなきゃいけないね。ほんと。


この本、あとがきを書いている山田洋次監督が映画化するらしい。
どんな物語に仕上げてくれるのか楽しみだ。