「聖の青春」


大崎善生 著 「聖の青春」読了。
★★★★★★☆☆☆☆


版社/著者からの内容紹介

話題の作家のデビュー作!
将棋の知識は必要ありません。
村山聖、A級8段。享年29。病と闘い、将棋に命を賭けた「怪童」の純真な一生を、
師弟愛、家族愛を通して描くノンフィクション。新潮学芸賞受賞作。


こないだの「将棋の子」に感動したので、予告どおり読みました。


この村山聖という棋士は、5歳の時にネフローゼという難病を患い、
生涯その病と闘い続け、A級在籍のまま29歳でこの世を去った棋士


ネフローゼというのは腎疾患で、腎臓の障害によって血中のたんぱく質
尿に混じって体外に流出してしまうらしい。
で、村山聖の場合は症状が重くて、疲れると発症して、
そうするともう高熱で動けなくなっちゃうの。
で、何日か入院してまたなんとか元の生活に戻る。


その繰り返し。


そして最終的にはネフローゼが原因となる膀胱癌で亡くなってしまう。



「将棋の子」では奨励会の厳しさを知ったけれど、
この「聖の青春」ではその1局1局の対局がまた過酷なことを知った。


朝の10時に対局が始まって、終了するのが夜中の12時とか。
その後感想戦とかあったりする・・・


その間ずーーっと集中して考え続けるわけだから(当たり前だけど)、
体力の消耗が命取りとなる村山聖にとってはほんとに対局は命懸けだったんだね。



将棋を指すために全ての体力を温存し、
お金にも住む所にも一切執着せず、
ただ谷川浩司を倒して名人になることだけを目標に生きた村山聖


その将棋にかける純粋な情熱に胸を打たれる。


そしてそんな村山を支えた続けた師匠、家族、著者、
近所のおじさん達の優しさ、あったかさにじーんとくる。



さすがにデビュー作だけあって、
文章は後の作品に比べると多少荒い気もするけど、
確かに将棋知らない人にもオススメの傑作だと思った。



あーでも途中いろんな場面や、最後に村山の棋譜が出てくるので、
実際将棋がわかるとこの村山聖の将棋の特徴、「怪童」っぷり、
スゴさがわかって超面白いんだろうなー。



どうでもいいけど、最後までどうしても「聖(さとし)」を
「ひじり」って読んじゃって困った。