「グランドジョラス北壁」
小西政継 著 「グランドジョラス北壁」読了。
★★★★★★☆☆☆☆
内容(「BOOK」データベースより)
アルプス三大北壁の中で最も困難といわれている垂壁に、
日本人として初めて挑んだ厳冬期の記録。大寒波襲来の中で食料が尽き、
凍傷に冒された六人の男たちの生への脱出となった苦闘の十一日間を綴る。
1971年に書かれた本ということで、いささか古臭い表現とか、
昔の登山家、山男風なクサイ部分も多々あるものの、
書かれている体験がハンパでない。
メインは1971年にグランドジョラス北壁を制覇した時の話なんだけど、
途中20年ぶりの大寒波に襲われ、最終的に登頂はしたものの、
激しい凍傷によって最終的に6人で27本の指を失ってしまったという。
特に著者の小西さんは、この時隊のリーダーで、
吹雪の中トップを張っていたせいもあり、
足の指10本全部と左手の小指を失っちゃうの。
マイナス40度の中、全身ずぶ濡れのままのビバーク
(しかも快適なテントじゃんくてツェルトだけ)
とか、
垂直の壁の途中、大人3人しか座れないような場所で6人がビバーク
(ガスコンロを膝の上において夕食)
とか、
食料も底をつき、あまりの寒さに眠れないまま
朝が来るのをひたすら待つ長い長い夜
とか、
激しい吹雪の中、一日かけてたった40mしか進むことができない
とか、
ほんと想像を絶する過酷さなわけ。
もう冒険というよりはほんとに「生きるための戦い」だ。
鍛え上げられた人間の強さ、というか
「鉄の意志」
とはどういものか、思い知らされる。スゲー。
読後ちょっと気になったのでこの小西さんのその後を調べてみたところ、
この後も懲りずにジャヌー北壁やカンチェンジュンガ等に挑んだものの、
1996年にマナスル登頂後7600m地点で行方不明になったらしい・・・
もうさ、この小西政継にしても植村直己にしても山野井泰史にしても、
生死ギリギリのところで勝負することの緊張感、とか
それを乗り越えて登頂した時の快感って、
ほんとモノスゴイんだろうね。
取り憑かれちゃうくらいに。
登山は夏だけにしておこ・・・
- 作者: 小西政継
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/04/01
- メディア: 文庫
- 購入: 2人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (8件) を見る