「ガンに生かされて」

gougejp2007-08-07



飯島夏樹 著 「ガンに生かされて」読了。
★★★★★★★☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

静かに苦しみつつ、時が訪れるのを待っていた。
もう自分の頑張りもこれくらいだろう。そこで、よしっと決めた。
―生きるのに時があり、死ぬのに時がある。
2005年2月28日23時50分、彼は天に召された。
フジテレビ系「金曜エンタテイメント」で大反響を呼んだ飯島夏樹ラストメッセージ


前々から読みたかったんだけど、
映画化されるということで書店に文庫版があったので購入。


まず、
ウインドサーフィンのワールドカップで世界を転戦し、
引退後は家族でグアムのオーシャンフロントの家に住み、
職場まではイルカの群れとともにジェットスキーで通い
観光客相手の仕事をしている・・・


なんという、ほんとに健康そのもので、
なんともうらやましい生活をしてた37歳の男が、
突然ガンになって、わずか1年後に死んでしまった、
ということがものすごくショックだった。


自分ではなんとなく、
運動もたくさんしてるし、
わりと健康には気を使ってるし、
大きな病気になるのなんてまだまだ先、
ましてやガンなんて。


なんて思ってるけど、
決してヒトゴトではないな、と思った。



そしてこの本は、
フツーの闘病記と違って、暗さや、絶望、悲しみ、
といった要素はあまりなく、
ハワイという環境もあいまって、


「こんな風に最後を迎えられたら。」



と思えるような、本当にすばらしい、
闘病記というよりもむしろ、
「末期ガンとすごした人生最後の日々の記録」
といった感じになっている。


恐らくこの本を書けるような状態になるまでには
本人の凄まじい心情の変化や、努力があったのだと思う。
(実際うつ病もくぐり抜けている。)


元が若くて健康な海の男だっただけに、
すごいスピードでやせ細って、何もできなくなっていく
自分を見ているのは辛かったはず。


そして末期ガンの痛みは想像を絶するものだろう。


そんな究極の状況の作者の穏やかな言葉は、
心に素直にしみ込んできて、


「幸せに生き、幸せに死ぬ」


ということについて、深く考えさせられた。



読んでおいて損はない。