「風に桜の舞う道で」


竹内 真 著 「風に桜の舞う道で」 読了。
★★★★★★☆☆☆☆


内容(「MARC」データベースより)

90年春、高校を卒業した青年が大きな荷物を手に「桜花寮」に集まる。
1年間彼らが住まいとする予備校の寮である。10年後の2000年春、
彼らの夢は形をとりつつあった。懐かしさとほろ苦さを感じさせる青春小説。


浪人時代に寮で共に過ごした友人の一人が死んだ、
という噂の真相を探るべく、主人公が当時の仲間一人一人を訪ねていく、
というお話。


昔の仲間を訪ねる現在と、当時のことを書いた回想部分が交互になっていて
なんともノスタルジックな小説になっている。


学生時代のエピソードのひとつひとつも面白いし、
登場人物それぞれも個性的で魅力的だし、
過去と現在をつなく話の流れもとてもイイ。


そして読後感も超サワヤカ。



ただ少し残念だったのは、
浪人を経験した人の方がより深く共感できるだろう、ということ。


本文中にも出てくるけど、
浪人生っていうのはきっとなんとも不安な存在なんだろうと思う。
学生でもなく、2浪するかもしれないというプレッシャーの中、
進路に悩み、立場的に毎日受験勉強だけをしなければいけない身分。


そんな中で過ごす青春。出会う仲間。


高校受験はしたけれど、そのまま付属の大学に行って、
当然浪人も経験したことのない俺とかは、
きっとこの登場人物達の気持ちは理解できないんだと思う。


なんだか予備校の寮での1年間が、
高校時代や、大学時代よりも大事な思い出になる、
っていうのが、やっぱりちょっと想像つかないかな。


でもきっとその不安定な1年間と、
そしてその頃描いた将来の道を歩いている現在だから、
すっきりまとまった良い話になってるんだろうなぁ。



浪人経験のある人は読んどくべきでしょう。


風に桜の舞う道で (新潮文庫)

風に桜の舞う道で (新潮文庫)