真保 裕一 著 「灰色の北壁」

gougejp2008-01-25



真保 裕一 著 「灰色の北壁」読了。
★★★★★★☆☆☆☆


内容(「BOOK」データベースより)

世界のクライマーから「ホワイト・タワー」と呼ばれ、恐れられた山がある。
死と背中合わせのその北壁を、たった一人で制覇した天才クライマー。
その業績に疑問を投じる一編のノンフィクションに封印された真実とは…。
表題作ほか全3編。山岳ミステリー集。


ホワイトアウト」の真保裕一による、
登山をテーマにした中編集。


最近また新聞とビジネス誌に追われて、
まったく小説を読むスキがなかったんだけど、
ヒサビサに文庫コーナーに行ったら読みたい本がズラリ・・・


もう我慢できず、迷ったあげく、
一番ハズレのなさそうなこの本を選んだ。



やっぱりハズレなし。



3篇とも雄大な山を舞台にしていて、
読んでいると頭の中に広がるそのスバラシイ風景の描写もさることながら、
そこにある人間ドラマ、心理描写、なによりも趣向を凝らしたプロットがスバラシイ。


最近よく読者を驚かせるためだけの
トリックに走った小説をよくみかけるけど、
これだけ丁寧に書き込まれるとなんつーか迫力が違ってくる。


東○さんとかもやはり凝ったミステリーを得意としているけど、
この真保裕一の最後まで気を抜かない骨太のストーリーを読んでしまうと、
若干軽く感じてしまうのは俺だけだろうか。



今日本人で好きな作家を3人挙げろと言われたら
かならず入るうちの一人。


まぁもしこれが長編だったらたぶん☆はもう一個つ増えただろうけど。




ミステリーが好きで、さらに山にちょっとでも興味があったら
読まない理由はない。