堤 未果 著 「ルポ貧困大国アメリカ」


堤 未果 著 「ルポ貧困大国アメリカ」 読了。
★★★★★★★★☆☆


読売新聞からの内容紹介

ブッシュ政権の下、「教育」「いのち」「暮らし」といった
重要な施策が民営化され、過激な市場原理によって生じている
米国貧困の最前線をルポする。イラク戦争の一部も民営化され、
お金のために派遣される労働者のケースなど経済弱者を食いもの
にする貧困ビジネスをえぐる。日本も人ごとでないと警鐘を鳴らす。


Amazonで非常に評価が高かったので購入。


民営化を推し進めてきたアメリカで何がおきているのか、
行き過ぎた民営化が生んだ格差社会の底辺のルポタージュ。


たくさんの具体的な例、数字をあげて説明されていて、
とにかくわかりやすい。


正直今の日本を見ていて、
もっと改革を推し進めるべき、民営化を進めるべき、
市場における自由競争こそ平等じゃないか、
と常日頃思っていた俺にとっては目からウロコの事実がもりだくさん。



低所得がゆえ肥満になっているアメリカ人。


一回大病になって通院しただけで破産してしまう高額な医療費負担。


若者や移民の雇用問題と軍隊のリクルーティングの関係。


9.11時のメディア統制。



アメリカという国にはアメフトを見てても、
B級学園青春ラブコメムービーを見てても(かなり好きだけど)、
アメリカ資本の会社の中を見てても、
やはり


"Winner takes All"


の考え方が根本にあって、
勝者がより楽に、富めるようなシステムを維持するために、
敗者、安い労働力、Worker、プロレタリアート
あえてたくさん作り出しているような気がする。


結果、敗者には地獄となり、
またその敗者の割合がかなり多くて、
勝者は安全のためのコストが高くなり、
結果、さらにそのピラミッドがどこまでも鋭角になっていく、ような・・・


キリがない。



とはいえ、民営化、自由競争が全て悪いわけではなく、
この本が言っていることだけ全て鵜呑みにしてもいけない、と思う。


より多くの事実を知り、より多くの立場の意見を読んで、
自分なりのバランスを考えるべきなんだろうな。


という意味で


やっぱり今までよりもっともっとたくさんの本を読もう、


とおもた。



良書。



ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)

ルポ 貧困大国アメリカ (岩波新書)